治療の経過
飲むのをやめると、交感神経の抑制が効かなくなり、発汗、不眠、不安、幻覚などの症状が数日間あらわれます。てんかんになり、意識を失うこともあります。ビール大量飲酒者は2L以上と、普通の人ならとても飲めない水分量をとるので、この関与もあるのではないかと思います(仮説)。
症状に耐えられない場合は安定剤が有効ですが、迎え酒と同じ薬理作用なので、アルコール依存からの脱出が遅れるばかりでなく、薬依存になる危険があります。耐えられる範囲で症状を出し切った方がよいのです。
1ヶ月位は交感神経優位な状態が続き、血糖の上昇が見られることもあります。
気持ちが落ち着いてくると、お酒でひど い状態だった記憶も段々うすくなってきます。残念なことですが、自分を優秀な人間だと信じていることができないからなのか、うまくアルコールをやめて、ま じめに断酒できている自分に違和感を持つようになるようです。 悪い異性にだまされて、ひどい目にあって、逃げたつもりでも、ついまた偶然でも会ってしま うと同じサイクルに引きずりまれるように、依存が再発してしまいます。 しかし完全に、もとのもくあみというよりは、行きつ戻りつ、らせん階段をのぼって いくプロセスと考えます。
抗酒薬、ノックビンは効果の持続が長 く、1週間位は残ります。アルコールの代謝をアセトアルデヒドの段階で止めてしまうので、間違って酒を飲もうものなら、吐き気、動悸、じんましんなど七転 八転の苦しみを味わうことになります。気が弱かったり、気持ちの浮き沈みの大きい人は、アルコールの誘惑場面に備えて飲んでおくと安心です。ノックビンに はドーパミンを放出させる働きもあり、これも、断酒継続に有用に作用する可能性があるといわれています。ドーパミンは自信や活力を起こす脳内物質です。