【ワクチンの添加物、水銀について】

ワクチンに含まれる水銀
大半のワクチンに、保存料として有機水銀(チメロサール)が含まれます。 チメロサールは別名エチル水銀で、水俣病をおこしたメチル水銀と炭素原子の数が1つ違うだけです。
 欧米では、小児ワクチンへの水銀添加は禁止されていますが、日本では、子供に投与するインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンに添加されたものがあります。 

脳へ残留するワクチン水銀
チメロサール添加ワクチンを赤ちゃんザルへ接種した研究で 長期残留が明らかにされています。 (下図 ,  Burbacher 2005)

予防接種後の水銀残留


重金属Gdの残留が問題になっています 
重金属ガドリニウム(Gd)はMRIの造影剤として使われています。 そのままでは溶けにくく毒性も強いので、化合物として投与されます。
 造影剤のGdが体内に残留することは、マウスへの投与実験で、使用開始当初より知られていました(Tweedle 1992)。 ヒトについては、骨への沈着が報告されていました(White 2006)。 2014 年、兵庫県立がんセンターの神田らによる調査で、 Gd造影を繰り返した人の大脳基底核や小脳歯状核のMRI画像が、あたかも造影したような信号を発していることが明らかにされました(下図 、 Kanda 2014)。 
 つまり、造影剤として注射したGdは、完全には、体から出ていかないということです。 この研究をうけ、厚労省は「検査の必要性を慎重に判断する」よう注意喚起を行っています(医薬安全対策課 2017.11.17)。
 これは、Gdに限らず、有機水銀など、他の重金属でも同じと考えるべきでしょう。


コメント
現在(2020年)日本の小児に使うワクチンで、チメロサールを含むものとしては、ビームゲン(HBワクチン)、インフルエ ンザなどがあります。 HBワクチンでもヘプタバックス−II (MSD)には含まれません。 チメロサールの濃度は、上記サルの実験とほぼ同じ 0.004 – 0.008mg/ml です。 ワクチン1回分0.5ml,0.004mgとすれば、マグロ10g分(大さじ1杯)に相当します。 水俣病で知られたよう に、水銀には蓄積毒性があります。 食べるのと、注射するのとでは、吸収率や排泄経路が異なるため、注射の方が蓄積は大きいと思われます。 子ザルの実験 を考慮し、当院では、水銀なしのワクチンをお勧めします。

参考書, 文献
ガドリニウム造影剤の使用上の注意の改訂について 医薬安全対策課 2017.11.17
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000184829.pdf

厚生労働省 魚介類に含まれる水銀の調査結果 (H15年頃)
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/050812-1-05.pdf
マグロ0.4  カツオ0.2 サバ・タイ0.1  イワシ0.02 (単位 マイクロg / g)
コメント;  ビームゲン1回分 0.0025mg (2.5マイクロg )、 インフルエンザ2回分 0.004〜0.008mg (1回分2〜4マイクロg ) 

 高峰武著 『8のテーマで読む水俣病』 2018年5月 弦書房
港でネコがひっくり返っているのを見た医師が、地場の魚を疑った。子供たちに魚をとらせて、ネコに与える実験を行い、水銀中毒を明らかにした。 など

Burbacher
TM et al.  Comparison of blood and brain mercury levels in infant monkeys exposed to methylmercury or vaccines containing thimerosal.  Environ Health Perspect. 2005 Aug;113(8):1015-21.
0.004 – 0.02mg/ml添加したワクチン、3種混合DTP とB型肝炎を、3回ずつ、 生後21日までの赤ちゃんザルへ接種。 その後、1ヶ月間の残留を測定。 特に体内で、無機化した水銀は、1カ月たっても減少しなかった。
コメント 
日本の小児に使うことができるワクチン、ビームゲン(HBワクチン)やインフルエンザなどのチメロサール濃度は本研究に近く0.005 – 0.008mg/ml です。

Kanda T et al.  High signal intensity in the dentate nucleus and globus pallidus on unenhanced T1-weighted MR images: relationship with increasing cumulative dose of a gadolinium-based contrast material.  Radiology. 2014 Mar;270(3):834-41.

Tweedle MF.  Physicochemical properties of gadoteridol and other magnetic resonance contrast agents.  Invest Radiol. 1992 Aug;27 Suppl 1:S2-6.
マウスへGd造影剤を投与する実験で 造影剤の種類により100分の1から1万分の1ほど残留。

White GW et al.  Comparison of Gd(DTPA-BMA) (Omniscan) versus Gd(HP-DO3A) (ProHance) relative to gadolinium retention in human bone tissue by inductively coupled plasma mass spectroscopy.  Invest Radiol. 2006 Mar;41(3):272-8.