【当院による個人情報の扱いについて】

大 目次:
A カルテのコピー料金 
B 当院がプライバシー保護において悩んだ事例(1〜5)
C カルテ守秘義務の根拠 ; 倫理・憲法・民法(1〜4)

A
カルテのコピー料金  
カルテなどの診療情報をコピー提供いたします。 ただし、ご本人が来院した場合に限ります。
(県外在住など事情があればご相談ください)
料金;
a  診療継続中 3000円+コピー1枚につき30円
b  通院が2ヶ月以上空いた場合 5000円+コピー1枚につき50円 (当日払い後日発送)
ただし
 最近3ヶ月以内のカルテは 1000円+コピー1枚につき10円 
 5年以上たったカルテは無料です。(無料貸出あるいは原本贈呈)
注意点;
・ 検査データなど、興味をもっていただけそうな周辺情報は、日常の診察の中で、全て無料コピーで提供しております。
・ 5年以内の診療情報は、貸し出せないため、院長がコピーします。 

B
プライバシー保護:当院のの考え方
事例;
1 厚生支局の個別指導
2 労災申請
3 他院から情報提供の要求
4 自立支援医療申請の診断書
5 紹介状など

1 個別指導で厚生支局の指導官(医師)に、カルテを見せるよう「お願い」された。
指導官によるカルテ閲覧の目的は保険診療が適正に行われているか確認することにある。 目的と関係ない部分まで開示する意味はないため、プライベートな内 容などは厚紙でおおった上で必要部分を確認してもらった。 なお、本人から、見せてよいと事前にサインを頂いた場合は、制限なしで見せた。

2 労災申請したら、カルテ丸ごとコピーの提出を労働基準局から「お願い」された。
調査の初動段階で、カルテ丸ごと必要かどうかは判断できないとはずだと抗議し、患者にも説明がつかないから、本当に必要なら提出命令を出すよう伝えた。  本当に提出命令が来たので、行政不服審査で対応。 上局の労働局から命令撤回の通知がきた。 意見書は、本人に確認してもらった上で提出した。

3 他院から患者情報提供を求められた
状況から、先方の医師が患者の話を聞き出す手間を省くためと思われた。 忙しいのは理解できるが、本人は、新しい主治医と時間をかけて話をしたいはずであ る。 本人自身が来院し、依頼しない限り、提供しないと断った。 結局、本人は来なかった。

4 自立支援医療申請のための診断書
一般診療のレセプトでは診断名と診療行為を提出することになる。 自立支援医療では、より踏み込んで、経過、現状、治療計画などを行政へ情報提供する必要 がある。 プライベートな内容は、必要レベルになるべくぼかして書く努力をしている。 たとえば、家庭の問題を、「家庭の危機」と表現しそれ以上踏み込ん で記載しない。 この診断書は即日出さないと、当日分の給付が受けられない。 提出前に本人に見てもらう暇がないのが悩ましい。

5 紹介状・診断書・意見書など
あけてびっくり悪口いっぱい....  こんな心配がないよう、 本人が内容を確認した上で封印するようにしている。 紹介先へ急送する必要がある場合は、やむをえず、事後確認して頂く。

C
カルテ守秘義務の根拠
1 世界医師会 「リスボン宣言」(1981年) 守秘義務
2 憲法 第十九条 思想及び良心の自由。
3 善良な管理者としての義務(民法)
4 個人情報保護法

1 医の倫理規定   
世界医師会 「リスボン宣言」(1981年) 守秘義務に対する権利
a.  患者の健康状態、症状、診断、予後および治療について個人を特定しうるあらゆる情報、ならびにその他個人の情報は全て秘密として守られなければな らない。患者の死後も守られなければならない。ただし、患者の子孫には、自らの健康上のリスクに関わる情報を得る権利もありうる。
b. 上記の秘密情報は、患者が明確な同意を与えるか、あるいは法律に明確に規定されている場合に限り開示することができる。

2 憲法 第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
解説: カルテには、患者のぼやきなどを含め、精神面の記載がある。 国家権力からプライバシーを守る。

3 民法の善管注意義務
第十節 委任
第六四四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
(準委任)
第六五六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
解説: 診察は、「法律行為でない事務の委託」である。 患者が「善良」と感じるように、カルテを管理する義務がある。

4 個人情報取扱事業者の義務 (H29年5月より小規模事業者も対象)
第二十三条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
解説: 「次に掲げる場合」とは、明確な法律規定がある場合、または本人の緊急時である。 その場合でも、患者が拒否している場合の提供は善管注意義務違 反(民法644条)となる。